メカニカル・フィルター

 メカニカル・フィルターは、電気信号を一旦機械的振動に変換し、 一種の音叉の原理で共振させ、その振動を再び電気信号に戻すという 飛躍した発想から生まれたフィルターです。 性能は文句なく IFT を凌駕しますが、高価でアマチュアには高嶺の花でした。

国際のK型メカニカル・フィルター MF-455-10ck

 国際のK型メカニカル・フィルターの中心周波数は いずれも455kHz(中心周波数最大偏差+−0.3kHz)で4種類ありました。

-05ck 6dB偏差帯域幅 0.8kHz以上 A1用
     60dB減衰点帯域幅5.0kHz以下
     利得4mVにて10dB以上
     シェープ・ファクタ5.0

-10ck 6dB偏差帯域幅 2.0kHz以上 SSB用
     60dB減衰点帯域幅7.0kHz以下
     利得4mVにて20dB以上
     シェープ・ファクタ3.5

-15ck 6dB偏差帯域幅 3.0kHz以上 A3用
     60dB減衰点帯域幅9.0kHz以下
     利得4mVにて20dB以上
     シェープ・ファクタ3.0

-30ck 6dB偏差帯域幅 6.0kHz以上 A3用
     60dB減衰点帯域幅15.0kHz以下
     利得4mVにて20dB以上
     シェープ・ファクタ2.5

使用温度範囲0-70度(セ氏)

 1970年ころ、トリオのオールバンド通信型受信機 9R-59D のキットが 19,900円で買えた時代に、国際のK型メカニカル・フィルターは1個 4,950円もしました。 発売当初の1961年には 6,300円でした。 ピン接続は足の部分に、"P"、"B"、"G"、"E" の略号が記載されています。 本来は "P"、"B" と "G"、"E" 間にシールド板が付属しています。

 かつての高嶺の花も、経年劣化で現在使えるかどうかは疑問です。 そこでメカニカル・フィルタの分解掃除を実践した方のホーム・ページを参考に、 分解してみました。

 100W のはんだごてで、接合面を5分ほど加熱したところ すっぽりと中身が抜けました。 中のスポンジはすっかり朽ち果てていました。 数珠のような共振素子をマニキュアの除光液にどっぷりと浸け、綿棒で良く洗い、 換気扇用のフィルタで包んで元通りに戻しました。
 使えるかなあ?

(2005年2月8日加筆)
(2004年1月1日初稿)
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