アルプスのバリコン
 アルプス / 片岡電気
1948年 11月、片岡電気株式会社創業。ロータリースイッチを製造。
1949年 5月、エアバリコンの製造販売を開始。
1950年 1月ころ、NHK認定品となる。
1951年 2月、日本電子機械工業会(EIAJ)に規格委員会が発足し、 バリコンの規格が公認される。
1952年 4月、CLD協会規格発足。(一部業者による私的な規格)
1959年 6月、JIS表示許可工場となる。
1964年 12月、アルプス電気株式会社に変更。
1984年 2月、エアバリコンの製造終結。現在の主力製品は電子部品。

写真左 B-23
中型2連バリコン
波長直線型 12-430pF
トリマーなし ベーク
1951年発売

写真右 B-37
普及型小型3連バリコン
波長直線型 12-430pF JIS規格品(1959年から)
トリマー25pF ベーク
2連のB-27は1955年2月発売 初期のヒット商品
写真左 B-35
小型3連バリコン
波長直線型 12-430pF
トリマーなし ベーク

写真右 B-36
中型3連バリコン
波長直線型 12-430pF
トリマーなし ベーク
1952年発売
B-23を3連にしたもの)
B-11
大型単連バリコン
波長直線型 12-430pF
トリマーなし タイト
測定器用

B-22
大型2連バリコン
波長直線型 11-429pF
トリマーなし タイト
1949年末発売

写真のバリコンはシャフトを短く切断。
B-33
大型3連バリコン
波長直線型 11-429pF
トリマーなし タイト

写真右のバリコンはシャフトを短く切断。
バリコンに418pFと印字されているものもあります。
(最大可変容量Ckmax=429pF-11pF=418pF ポリバリコンではこの表示が一般的)
B-44
大型4連バリコン
波長直線型 12-430pF
トリマーなし タイト

1957年のカタログには未掲載。
高周波増幅2段の短波受信機、送信機、測定器などに使われたようです。
単連B-11、2連B-22、3連B-33の長さの差は35mmずつですが (max500pFの製品と共用するため)、 4連B-44と3連B-33の長さの差はわずかに8.8mm。 B-44は無駄な間隔を詰めた作りになっています。
写真左 B-61
周波数直線型単連バリコン
12-350pF トリマーなし タイト
1949年発売

写真右 B-62
周波数直線型2連バリコン
12-350pF トリマーなし タイト
B-81 (スプレダー付B33)
バンドスプレッド付大型3連バリコン
波長直線型 13-431pF
スプレダー(spreader=バターナイフ) 12pF トリマーなし タイト
1952年発売

トリオの 9R4 などに使用されました。
B-53
2セクション3連バリコン
長波用   14-432pF
短波用   8.5-180pF
トリマーなし タイト
1951年発売
このバリコン用のコイルは翌年トリオから発売されました。

写真中央のバリコンはシャフトを短く切断。
B-52
2セクション2連バリコン
長波用   14-432pF
短波用   8.5-179.5pF
トリマーなし タイト
1951年発売
写真左 B-92
バンドスプレッド付2セクション2連バリコン
長波用   16-434pF
短波用   9.5-180pF
スプレダー 12pF トリマーなし タイト 1952年発売

写真右 B-80 (スプレダー付B22)
バンドスプレッド付大型2連バリコン
波長直線型 13-431pF
スプレダー 12pF トリマーなし タイト
1949年末発売
B-93
バンドスプレッド付2セクション3連バリコン
長波用   16-434pF
短波用   9.5-180pF
スプレダー 12pF
トリマーなし タイト
1952年発売

トリオの 9R42(1954年発売)などに使用されました。
写真右はスプレダーをはずしたもの。
C-635A
小型3段バリコン
小型波長直線型
可変係数 2a 10.5-437.0pF
トリマー15pF ベーク

アルプスのバリコン生産晩年の製品で、初期の中型2連バリコンよりも小型
1980年ころ 名称を B6369DS からC635A に変更


アルプス製品データシート 57NO.2 他より転載 ( )内は1957年以降の価格
型式番号
名称
規格
トリマー
寸法
(mm)
1952年当時
価格例
B-15小型単連バリコン 波長直線型 10.5-348.1pF30pFベーク40x46x32(140円)
B-25小型2連バリコン 波長直線型 12-430pF30pFベーク40x46x58 1953年発売
(250円)
B-35小型3連バリコン 波長直線型 12-430pF30pFベーク40x46x84(420円)
B-23中型2連バリコン 波長直線型 12-430pF30pFベーク43x66x72 280円
(295円)
B-36中型3連バリコン 波長直線型 12-430pF30pFベーク43x66x103 1952年発売
廉価版
(465円)
B-27普及型小型2連バリコン 波長直線型 12-430pF25pFベーク36x54x55 1955年2月
発売
(210円)
B-37普及型小型3連バリコン 波長直線型 12-430pF25pFベーク36x54x84(325円)
B-29トラッキングレス
小型2連バリコン
アンテナ側 12-430pF
発振側   10.5-208pF
fmax/fmin=1650kHz/520kHz
IF=455kHz
STAR 5SH・O-4 など対応
30pFベーク 36x54x551955年4月
発売
(225円)
B-20AM.FM.両用2連バリコン B.C.アンテナ側11-430pF
    発振側10.3-208pF
S.W.アンテナ側7.5-15pF
     発振側7.5-15pF
12pF 40x66x72-
B-30AM.FM.両用3連バリコン B.C.アンテナ側11-430pF
    発振側10.3-208pF
S.W.アンテナ側7.5-15pF
     発振側7.5-15pF
12pF 40x66x103-
B-11大型単連バリコン 波長直線型 12-430pFなし タイト46x76x38(350円)
B-22大型2連バリコン 波長直線型 11-429pFなし タイト46x76x73 460円
(500円)
B-33大型3連バリコン 波長直線型 11-429pFなし タイト46x76x108 750円
(825円)
B-44大型4連バリコン 波長直線型 12-430pFなし タイト46x76x116.8 (1,540円)
B-61周波数直線型単連バリコン 周波数直線型 12-350pFなし タイト46x76x38 310円
(350円)
B-61A微動装置付
周波数直線型単連バリコン
周波数直線型 12-350pF
(微動装置付のB-61)
なし タイト 46x88x38400円
(475円)
B-62周波数直線型2連バリコン 周波数直線型 12-350pFなし タイト46x76x73 (600円)
(650円)
B-71超小型
トラッキングレス2連バリコン
(ポケットラジオ用)
アンテナ側 9-220pF
発振側    7-100pF
fmax/fmin=1650kHz/520kHz
IF=455kHz
10pFベーク 30x36x21-
B-72超小型
トラッキングレス2連バリコン
(ポータブル用)
アンテナ側 9-290pF
発振側    7-129pF
アンテナ・コイル300μH
OSCコイル180μH
fmax/fmin=1650kHz/520kHz
IF=455kHz
20pFベーク30x36x291954年発売
(350円)
B-80
(B-82)
バンドスプレッド付
大型2連バリコン
波長直線型 13-431pF
スプレダー 12pF
(スプレダー付B22)
なし タイトB-22参照750円
(865円)
B-81
(B-83)
バンドスプレッド付
大型3連バリコン
波長直線型 13-431pF
スプレダー 12pF
(スプレダー付B33)
なし タイトB-33参照1,030円
(1,200円)
B-522セクション2連バリコン 長波用   14-432pF
短波用   8.5-180pF
なし タイト 46x76x73750円
(865円)
B-532セクション3連バリコン 長波用   14-432pF
短波用   8.5-180pF
なし タイト 46x76x1081,030円
(1,200円)
B-92バンドスプレッド付
2セクション2連バリコン
長波用   16-434pF
短波用   9.5-180pF
スプレダー 12pF
なし タイト46x76x73*1,100円
(1,130円)
B-93バンドスプレッド付
2セクション3連バリコン
長波用   16-434pF
短波用   9.5-180pF
スプレダー 12pF
なし タイト46x76x108*1,500円
(1,470円)
C521CFM用小型2段バリコン 周波数直線形
6.1-24.4pF
7.7-38.4pF規格品もある
なし タイト33.5x35x40以下1980年
カタログ
(1100円)
C532CFM用小型3段バリコン 周波数直線形 6.1-24.4pF なし タイト33.5x35x58(1450円)
C613A小型1段バリコン 可変係数 2a 8.0-336.0pFなし ベーク34x39x26(540円)
C624A
B6247DS
小型2段バリコン 可変係数 2a 10.5-436.9pF15pFベーク 34x39x46.6(720円)
C635A
B6369DS
小型3段バリコン 可変係数 2a 10.6-437.0pF15pFベーク 34x39x68.5(1000円)
*波長直線型はEIAJ標準1aの可変係数曲線を採用しており、波長直線に近いという意味。
*B92、B93は1952年当時注文生産で、2セクション(合計430pF)の容量分割を 指定することができました(例えば短波用を 170pF とする)。 1953年6月の製品からは上記の規格品となりました。
*B80、B81は後年呼び名を変更し、B82、B83となりました。

ポータブル用
3連トラッキングレス・バリコン

前段    11-290pF
中段     9-129pF
後段    11-290pF
トリマー付(写真では背面) ベーク

*HP作者コメント
 通信機用の高級品ばかり紹介してきましたが、アルプスも時流に乗って ポータブル用を作っていました。
 当時のわが国の中小メーカー製トラッキングレス・バリコンは設計が悪く、 受信帯域の部分部分でトラッキングが大きくずれてしまったようです。 ポータブルのセット・メーカーでは、 羽根を曲げるという裏技(禁じ手)を使ってトラッキングを合わせたこともあるそうです。 アルプスは一流メーカーだから大丈夫でしょう。
 ちなみに普通の2連バリコンを使ったスーパーでも、 完全なトラッキングを取ることは無理なのですが、 誤差が一定のカーブに収まり、大きく破綻しないので実用上問題ないのです。

 参考までに当時の価格の一部を一覧表に加えました。 1955年当時の大卒初任給平均は、10,180円だったそうです。 一般の5球スーパーには B-23B-27 が使用されました。 これらのバリコンは、現在では入手困難です。

 型式のわからなかったバリコンの名前を横浜の今井様に教えていただきました。 ありがとうございます。
(2012年5月9日 C-635A 追加)
(2008年10月9日 B-44 追加)
(2005年12月19日 B-52 追加)
(2005年9月5日アルプスバリコンの歴史追加)
(2005年9月3日 B-23、B-37、寸法追加)
(2003年3月21日初稿)
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