4球1ウェイ
4球ポータブル・キット
(キット・完成品)




はじめに
 4球ポータブルのキットを企画しました。 (2002年11月頒布開始-2003年10月終了)
 生産中止になっている部品を使用して、仮に透明なケースに収めていますが、 もっとおしゃれなケースに組替えて自分だけのポータブルを作るのも面白いと思います。 真空管ラジオが乾電池で鳴るというのは、なかなか愉快です。 ご心配なく、乾電池は意外と長持ちします。


回路の選定
 ポータブルは製作の難易度が高いので、5球スーパー程度の経験のある方を想定しています。
 難し過ぎないように、RCAのチューブ・マニュアルにある 最終型4球ポータブルに若干手を加えた回路を採用しました。 使用した真空管は1R5、1U4、1U5、3Q4で、 3Q43V4とピン接続は異なりますが特性は同等です。 IFTは一次側と二次側の耐圧がわかりませんので、一次側のみ使用しました。 同じ理由で、発振コイルにはB電圧がかからないようにしました。
 性能的には他の4球ポータブルと同程度で、特に高音が良く出ます。


4球ポータブル・キットの回路図


4球ポータブル・キット部品表
記号
名称
詳細
V1周波数変換管1R5
V2中間周波増幅管1U4
V3検波・増幅管1U5
V4出力管3Q4
C1セラミック・コンデンサ0.01uF
C2
C3
親子バリコン
11-295pF
9-126pF
付属トリマ 2-15pF
未使用品ですが残念ながらところどころ
サビが発生していましたので、 やすりで
サビを落としてあります。
羽根はアルミ製でサビはありません。
C4セラミック・コンデンサ50pF
C5セラミック・コンデンサ0.01μF/250V
C6セラミック・コンデンサ390pF
C7セラミック・コンデンサ68pF/500V
C8セラミック・コンデンサ390pF
C9セラミック・コンデンサ68pF/500V
C10セラミック・コンデンサ100pF
C11コンデンサ0.01μF/100V
C12コンデンサ0.01μF/100V
C13コンデンサ0.01μF/100V
C14コンデンサ0.0033/400V
C15電解コンデンサ10μF/160V
R1抵抗100kΩ
R2抵抗15kΩ
R3抵抗100kΩ
R4抵抗3MΩ
R5抵抗47kΩ
R6
S1、S2付
ボリューム100kΩ
A型カーブ、S1、S2付
R7抵抗10MΩ
R8抵抗4.7MΩ
R9抵抗1MΩ
R10抵抗2MΩ
R11抵抗390Ω
L1アンテナ・コイル約300μH
T1発振コイル約180μH可変
T2IFT 455kHz
T3IFT455kHz
T4出力トランス一次側 7kΩ
二次側 4Ω
SPスピーカー7cm、8Ω、2W
"A"単1x1個 別売り
"B"006Px8個 別売り
その他ケース IZUMIのCD7を使いました。
透明ポリプロピレン製です。
その他A電池ボックス単1形 x1個用
その他B電池スナップ8個
その他つまみ2個
その他真空管ソケット7ピンmT用x4個
その他シャーシ穴あけ加工済み
その他ラグ板5p x2個、7p x1個
その他ビス、ナット必要数
その他配線材付属しません
* 断りもなく回路・使用部品を変更する場合があります。ご了承ください。

製作のポイント
 面倒なケースとシャシの加工はすべて済んでいます。 アンテナ・コイルのビニル線は赤と緑を残して根元から切ってしまいます。
 配線にはエンパイア・チューブや熱収縮チューブを使用して、部品同士が 接触してショートなどを起こさないように十分配慮してください。
 はんだ付けが済んだらトラッキング調整をしてケースに組み込みます。



写真上-シャーシ裏から。キットはこの状態まででき上がっています。(キット)
写真下-配線終了。中央にアース母線をひいて、アースをここに落とします。(試作機)

トラッキング調整
 ボリウムの端子にドライバーの先を軽く触れ、 クリック音が出ればとりあえず低周波部はよしとします。
 高周波部の調整は測定器がないとちょっと難しいかもしれません。 まずボリウムの両端にデジタル・テスターを接続しAVC 電圧を読みます。 1R5の第3グリッドに455kHzの信号を入れ IFT の調整を完全にします。これがポータブルの感度を大きく左右します。
 次にトラッキングをとります。アンテナ・コイルのコアは一番締めこんだ位置で固定します。 まずバリコンの羽根が一番入ったところで、発振コイルの発振周波数が 990kHzになるように発振コイルのコアを調整し、 バリコンの羽根が一番抜けたところで発振コイルの発振周波数が2,060kHzになるように、 バリコンのトリマーを調整します。この作業を2、3度繰り返します。
 この時点で535-1,605 kHzの周波数帯を受信できます。 600kHz付近のラジオ局を受信しながら、信号が最大になるように発振コイルのコアを調整し、 今度は1,400kHz付近のラジオ局を受信しながら信号が最大になるようにアンテナ側のバリコンの トリマーを調整する、という作業を数回繰り返します。

* バリコンはメーカーでの容量調整で、羽根を曲げてあるものがあります。 むやみに直したりしないように。

最後に
 周波数目盛りを付けてでき上がりです。 透明なケースに合わせ、外側に使うビスやナットにも透明なものを使います。 半日もあれば完成します。
 感度はAC式の並三以上5球スーパー未満といったところです。 鉄筋コンクリートの建物の中や電波の弱い地域では、受信が困難な場合があります。 出力は十分で、高音はかなり出ますが低音はこのケースでは限界があります。
 完成品もあります。


4球ポータブル・キット定格表
型式4球スーパーへテロダイン
受信周波数535kHz-1,605kHz
中間周波数455kHz
使用真空管1R51U41U53Q4
電気的出力約150mW
電源乾電池 A 1.5V(単1形アルカリ電池 x1)、 B 72V(9Vマンガン電池006P x8)
消費電力A 1.5V-250mA B 72V-9.2mA(B 67.5V-8.5mA)
A電池38時間、B電池67時間の連続使用が可能です。
スピーカー7cm ダイナミック
形状185 × 165 × 75mm
重量0.67kg (電池なし)、1.07kg (電池付)
発売年月2002年11月-2003年10月

(2008年12月29日製作記事として一部改訂の上再掲載)
(2002年11月13日初稿)
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