4球1ウェイ
4球ポータブル横行ダイヤル仕様
(自作)


 4球ポータブルに横行ダイヤルを装備してみました。 指針として赤色発光ダイオードを使いました。


製作のポイント

この写真の部品とバリコンのプーリ、発光ダイオードを追加します。

正面

使用した糸は、墨つぼ用太糸(0.8mm)

上面

滑車は網戸車として発売されているもの。 高価ですが丈夫で動作が軽快です。

側面

横行ダイヤルには指針が円滑に動くようにガイド用のレールを設けるのが普通です。 しかしそれでは真空管が隠れてしまい整備性が悪くなりますので 思い切ってレールを省略しました。 そのため指針がダイヤルの両端で停止する際に、若干不自然な動きをします。

プーリの直径 38mm、減速比 6:1 。

裏面

横行ダイヤルの仕掛けに場所を奪われて、出力トランスはシャシ下に吊り下げ。 電池スペース確保のため、シャシの取り付け位置を10mm上げました。

配線材と真空管を除く部品すべて

かつての2型4球ポータブル・キット用部品の補修用として保管していたパーツを、 新しいラジオに生かすことにしました。

配線済みのシャシ

回路の選定
 基本回路は2型4球ポータブル・キットのものを踏襲(とうしゅう)しました。


4球ポータブル横行ダイヤル仕様回路図


4球ポータブル横行ダイヤル仕様部品表
記号
名称
詳細
V1周波数変換管1R5-SF マツダ
V2中間周波増幅管1T4-SF 東芝
V3検波・増幅管1U5-SF マツダ
V4出力管3S4-SF マツダ
C1セラミック・コンデンサ0.047μF/50V
C2
C3
親子バリコン 富士バリコン
11-295pF
9-126pF
付属トリマ 2-15pF
C4セラミック・コンデンサ51pF/50V
C5セラミック・コンデンサ0.01μF/500V
C6セラミック・コンデンサ100pF/50V
C7セラミック・コンデンサ100pF/50V
C8フィルム・コンデンサ0.01μF/400V
C9フィルム・コンデンサ0.01μF/400V
C10フィルム・コンデンサ0.01μF/400V
C11オイル・コンデンサ0.0033/400V PCBは使っていません。
C12電解コンデンサ10μF/160V
R1抵抗100kΩ 1/8W
R2抵抗10kΩ 1/8W
R3抵抗3MΩ 1/8W
R4抵抗47kΩ 1/8W
R5
S1、S2付
ボリューム100kΩ
A型カーブ、S1、S2付
R6抵抗10MΩ 1/8W
R7抵抗4.7MΩ 1/8W
R8抵抗1MΩ 1/8W
R9抵抗2MΩ 1/8W
R10抵抗510Ω 2W
LED発光ダイオード
L1アンテナ・コイル約300uH
T1発振コイルNo.88コイル、約180uH可変
リアクションコイルとして0.1mmポリウレタン銅線を
60回巻きました。
T2IFT455kHz、同調コンデンサ100pF
タマディン(永井製作所)E0797-B
T3IFT同上
T4出力トランス一次側 7kΩ
二次側 4Ω
SPスピーカー7cm、8Ω、2W
"A"単1x1個-
"B"006Px8個-
その他ケースIZUMIのCD7(絶版)、透明ポリプロピレン製
その他A電池ボックス単1形 x1個用
その他B電池スナップ8個
その他つまみ2個
その他真空管ソケット7ピンmT用(QQQ)x4個
その他シャーシアルミニウム
その他アンテナ・コイル・ホルダー1個
その他ラグ板4p x2個、6p x1個
その他ビス、ナット必要数
その他配線材各種


4球ポータブル横行ダイヤル仕様定格表
型式4球スーパーへテロダイン
受信周波数535kHz-1,615kHz
中間周波数455kHz
使用真空管1R5-SF(マツダ)、1T4-SF(東芝)、 1U5-SF(マツダ)、3S4-SF(マツダ)
電気的出力約140mW
電源乾電池 A 1.5V(単1電池 x1)、 B 72V(9Vマンガン電池006P x8)
消費電力A 1.5V-125mA B 76V-7.7mA
スピーカー7cm ダイナミック
形状185 × 180 × 75mm
重量0.62kg (電池なし)、1.03kg (電池付)
製作年月2011年6月

SF管

 今回は1955年ころに日本で開発された省電力型の電池用真空管、通称SF管 (Super Filament 管の略と言われる)を使用しました。 中波ラジオでは50mA管を使用したラジオに遜色(そんしょく)ない性能を発揮します。

 輸出ポータブルに使うにあたってアメリカ式のRETMA名を申請したため、 日本名とRETMA名の2つ名前があります。 1957年にはトランジスタ・ラジオが急速に台頭し、電池管はそれを使用するポータブル と共に命脈が尽きてしまいました。

「マツダ」のロゴは1959年以前の製品。 「東芝」のロゴは1960年以降の製品。


世界のmT型25mA管一覧表
25mA管名称
類似50mA管
備考
1R5T1R5/DK91 1948年ころ、タングスラム社(ハンガリー)が開発。
1T4T1T4/DF91同上
1S5T1S5/DAF91同上
3S4T3S4/DL92同上
1U61L6 1952年ころ、シルバニア社(アメリカ)が開発。
Zenith社のラジオなどにわずかに使用されました。
1AF41U4同上
1AF51S5/DAF91同上
3E53V4/DL94同上
1AB6/DK961AC6/DK92 1953年ころ、フィリップス社(オランダ)が開発。
1954年から1957年の松下などのポータブルに使用されました。
ヨーロッパではポピュラーな存在です。
1AJ4/DF961L4/DF92同上、 スクリーン電圧の取り扱い方法が 1L4 に類似。
1AH5/DAF961S5/DAF91同上
3C4/DL963V4/DL94同上
1AN5/DF97-FMラジオ用
DC96DC90FMラジオ用
1R5-SF/1AQ51R5/DK91 1955年から1957年までの日本製ポータブルに使用されました。
1T4-SF/1AM41T4/DF91同上
1S5-SF/1AR51S5/DAF91同上
1U5-SF/1AS51U5/DAF92同上
3S4-SF/3W43Q4/DL95同上、 名称は 3S4 の改良型だが規格は 3Q4 に近い。
3Y4/DL973S4/DL92 1956年ころ、松下、東芝が製造。B電圧67.5Vでは 3C4 より高出力。
1H3-1956年ころ、1N3 相当mT型マジックアイ、松下が製造。
3Z43S4/DL92 1957年ころ、日立、テンが製造。 B電圧67.5Vでは最高出力。

(2016年3月30日回路図の LED の極性を訂正)
(2011年6月7日初稿)
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