単球2バンド・レフレックス・スーパー
(自作)


写真左-前から、右-斜め上から

 単球スーパーの成功に気をよくして、さらにBCバンドと7MHzバンドのCW、SSB を受信しようと 欲張ったラジオです。Sメーター、AGC も付いています。
 作るにあたって手本となるような回路も乏しく、動作を一つ一つ確認しながら製作を進めて 最終的には回路図のようにしました。真空管には高周波用の3極5極管の 6U8 を使いました。 3極部で周波数変換、5極部で中間周波増幅をさせ、ダイオードで倍電圧検波した後、 もう一度5極部に戻して低周波増幅をさせ、スピーカーを鳴らします。
 1球ではありますが構成としては5球スーパーの機能のうち低周波増幅が一段省略 されているだけで、それ以外の機能は備わっています。

 3極部の周波数変換回路は意表をついてカソード入力にしました。 実験した回路の中では、感度はこれが一番高いようでした。 グリッドにアンテナ・コイルと発振コイルを接続するとBCバンドでは問題ないものの、 7MHzバンドではコイル同士の干渉が起こります。
 また、コイルの切り替えがしやすいように、簡単なコイル・パックを作ってみました。 BCバンド用アンテナ・コイルにはトランジスタ・ラジオ用のOSCコイルを、 発振コイルにはNo.88豆コイルを採用し、7MHz用にはアンテナ・コイル、 発振コイルのいずれにも FCZ10S3R5 を採用して基板に取り付け、ロータリー・スイッチと 組んだものです。バリコンはFM/AM用の親子バリコンです。

 さて、こういった利得に余裕のないラジオでは、 IFT の調整とトラッキング調整が成功のカギを握っています。 調整の結果、難なくBCバンドではスピーカーで受信できました。 しかしこの後、7MHzバンドを受信できるようになるまでにはさらに 10倍の時間がかかってしまいました。
 BCバンドでは何も問題がなかったのに、7MHzバンドに切り替えたとたんに、 455kHz の強い信号が入り込んでしまいました。5極部が発振しているのかと思ったのですが、 3極部の周波数変換回路から出ている信号らしいのです。 配線のストレーが原因ではないかとうたぐってストレーをなくそうと長時間腐心しましたが、 どうやら発振回路の中に IFT が入っているこの回路特有の問題のようです。 結局このままの回路で妥協して、この信号はBFOとして利用することにしました。

 ひいき目に言えば、5球スーパーに匹敵する感度と選択度を持っています。 200km以上はなれたニッポン放送(JOLF) も受信できます。 7MHzのアマチュア無線局の受信は、アンテナ・コイルのコアを調整して SSB がきれいに復調できる点を探しますが、これが実際には大変難しい。
 AGC はかなり効果があり、SメーターもBCバンドの同調には便利です。 パズルのようなラジオで、調整には、とことんてこずりました。 もうおなかいっぱいです。


単球2バンド・レフレックス・スーパー定格表
型式単球2バンド・レフレックス・スーパー
受信周波数606kHz-1,418kHz
6,880kHz-7,760kHz(実測)
使用真空管6U8
感度5球スーパー程度(中波)
電気的出力300mW(推定)
電源100VAC
消費電力-
スピーカー7.5cm ダイナミック
型状260x115x210mm
重量2.05kg
製作年月2001年12月製作
2009年8月バリコン、コイルほか変更、 パネル追加


単球2バンド・レフレックス・スーパー 回路図

 大変神経質なラジオで、真空管の 6U8 を同じメーカーの 6U8 に差し替えただけで、 正常な動作をしなくなってしまいます。
 このラジオは「CQ ham radio」誌 2002年12月号「読者の製作実験室」p.136-137に掲載されました。
(2002年2月9日初稿)



 2009年10月22日発売の「真空管レフレックスラジオ実践製作ガイド」に、 このラジオが掲載されました。 8年ぶりに大幅に手を加え、扱い易くなりました。 詳細は書籍で。
(2009年10月15日追記)




 バンド切替えスイッチとして使用した、アルプスY-300は生産終了となりました。 代替案として、BFO/AGCの切替えを独立したスイッチとして、バンド切替えスイッチには 部品の調達がしやすい4回路2接点または6回路2接点のロータリースイッチを使う方法があります。
(2010年1月24日追記)
FCZコイルが生産終了となりました。 販売店の在庫限りだそうです。
(2011年6月2日追記)


 回路図にコイルのピン番号とコイルの底面図を追加しました。
(2009年10月27日追記)

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