4バンド5球スーパー
(自作)


写真左上-前方から 右上-斜め上から

 その昔、短波入門用とでも言うべき、 4バンド5球スーパーがいくつかのメーカーから発売されました。 通信機としての実用性は疑問ですが、夢を盛り込んだ受信機でした。 私もほしかった、、、。 そこで今回は、ありあわせの部品で4バンド・コイルパックを作り、 そんな5球スーパーを作ってみました。

 メタル管がずらりと並んだ全盛期のアメリカの通信型受信機への憧れから、 6SB7-Y、6SG7-Y、6SQ7、6F6、6X5のメタル管を選択しました。 裸のシャシでは通信機を名乗る資格はありませんが、 互換性のあるGT管に差し替えて左下の写真のようにイメージを変えることも可能です。 しかし、ありあわせのコイルを利用したコイル・パックですので、 6SA7-GTではDバンドは発振しませんでした。 コンバータ管6SB7-YはアメリカのFMラジオ用に 100MHzを超える周波数帯で使用できるように 開発されただけのことはあって、すばらしい性能です。 AバンドからDバンドまで、こんなに世の中に放送局があったのかと再認識するくらい、 にぎやかに受信できます。 周波数の安定度も悪くありませんので、もう少し選択度を改善できれば文句ないところです。


つまみは、左からON/OFF兼用音量ボリューム
パイロット・ランプ
中央は同軸の内側−バンドスイッチ、外側−メイン・バリコン
その右はBFOピッチ
一番右側も同軸で、内側−AGC/BFO切換スイッチ、外側−スプレッド・バリコン

 コイル・パックのコイルにはFCZコイルを使用しています。 真空管回路はFCZコイル本来の用法ではありませんので、 コイルに直流電流を流さない回路にしました。 ヒースキットのGR-91やスターのSR-40にも採用されています。 トランスレスでアース母線をシャシから浮かす場合にも応用できます。
 コイルにカソード電流を流した場合のほうが、発振させることができる 周波数の限界が若干高くなるようです。
 短波のCWやSSBを受信するためにはBFOが必要です。 5球スーパー程度の受信機の多くはIF段を軽く発振させてBFOとしています。 周波数の調整ができないなど使い勝手は悪いのですが、 部品点数も増えずに感度、選択度ともに上昇する便利な回路です。

 しかし、ここでは前から一度試してみたかったAF段とBFOを兼用する回路としました。 若干複雑ですが真空管の節約にもなり、周波数の可変もできます。 トランジスタ用IFT(黄色)をBFOコイルとして利用してみました。 カソードコイル式としたところ、カソードコイルの巻き数が少ないため発振が弱過ぎましたので、 カソードタップ式に変更しました。 カソードコイル式や反結合発振回路で使うなら黒色のIFTがよさそうです。

 最近は外来ノイズより、家庭内のコタツや洗濯機などからの 電源のノイズが問題になります。 そこで今回初めて、AC回路にノイズ・フィルタを入れてみました。 効果は十分実感できます。 今後製作するラジオにも使用したいと思います。 また、B電圧の整流回路に入れてある1.2MΩの抵抗は、電解コンデンサの放電用です。 普段は機能していませんが、思わぬ感電を防止します。

4バンド5球スーパー
型式4バンド5球スーパー
受信周波数A:520kHz-1,655kHz
B:1.4MHz-3.7MHz
C:3.7MHz-11.4MHz
D:7.5MHz-23.0MHz
使用真空管6SB7-Y、6SG7-Y、6SQ7、6F6、6X5
感度5球スーパー程度
電気的出力2W(推定)
電源100VAC
消費電力-
スピーカー外部 7.5cm ダイナミック
形状300 x 270 x 175H mm
重量2.75kg
装備スプレッド・バリコン、BFO、AGC−ON/OFF付
製作年月2004年4月


4バンド5球スーパー回路図
(2010年1月27日加筆訂正)
(2004年4月11日初稿)
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