TRIOのコイル

KR-3 (TRIO Technical Data Sheet No.54 1954年より転載)

RF附3バンドコイルパック
規格表
受信周波数    550-1,600kHz
           3.5-10MHz
            8-23MHz
中間周波数       455kHz
バリコン  430pF 、3連トリマー無し
ダイアル     3バンド用
シャーシー    トリオ S-6R
フォノ       切換スイッチ付属

 トリオ KR-3 型 3バンドコイルパックは、ロータリースイッチ、シールド版、コイル、 パッディングコンデンサー、トリマー等を高周波損失の最も少ない配置に組み立てて、 JIS 規格による色分け配線を行い、一台毎に厳密な調整を施したものでありまして、 所定の位置に取り付けて、リードに付けられたマークに従って数箇所の接続を行うだけで、 ダイアルによくマッチした高感度 3バンドスーパーができ上がります。
 パックに使用された各部品はパック専用パーツとして当社の長年月にわたる研究の成果であり、 パックの大きさは数十回の試作により決定された必要の最小限の形体であります。 又使用上の御便宜のために行程自在の取付金具を考案し付属してあります。

お知らせ
中波用コイルのダスト・コアーについて
 トリオ・コイルパックの中波用発振コイルには、従来までダストコアーを 用いたものがございましたが、このコイルは取り付け位置の関係から、パワートランスの リーケージフラックスを浴びて、交流により導磁率の変化が起こり、 発振周波数が 50 又は 60 Hzで変調され、原因不明のモジュレーションハム(変調交流音)の 発生することがございました。これを防止するために最近の製品からは、 中波用発振コイルのダストコアーを除去いたしました。 コイルのインダクタンスは極めて正確に校正されておりますから このコイルのインダクタンス調整は全く不要です。 説明書の図版は都合によりコアー入りのものを用いたものもございますが 以上の点を御諒承の上ご使用ください。
              トリオ株式会社技術部




*HP作者コメント
 左は 1950年9月発行のラジオ技術臨時増刊「通信型受信機の研究」に掲載された広告です。

 初期モデルの周波数は 535-1605kHz、3-8.5MHz、6-18MHz の3バンドで、 発振コイルを含めすべてのコイルが空芯だったようです。 その後のモデルでは周波数が写真のモデルと同様に変更され、発振コイルはコア入りとなりました。 さらに上記の「お知らせ」のような事情から、中波帯の発振コイルは再び空芯となりました。

 1956年ころの値段は 1,850円、1960年ころの値段は 2,220円。 高級電蓄などに使われました。 これも深めのシャシを用意する必要があります。

 箱には535-1600Kc と記載されていますが、規格は 550-1,600kHz の As バンドを採用しています。 上の写真の2つの箱を見比べれば、春日無線時代の「コイルキット」からトリオ時代の 「コイルパック」への変遷がみてとれます。
(2015年5月 8日写真差し替え)
(2012年3月10日広告追加)
(2007年3月7日加筆)
(2003年8月1日初稿)
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