TRIOのコイル

Q5'er KIT

中心周波数   50kHz
選択度    31dB (2kHz)
帯域幅      900Hz (-3dB)
インピーダンス  A:6kΩ
           B:3kΩ

内容
50kHz 中間周波数トランス(シールド付) 2個
455kHz インプットコイル(シールド付) 1個
405kHz 発振コイル  1個
ピックアップコイル用ワイヤー(絹巻線)  50cm

 短波受信機の混信分離は、シングルスーパーでは困難になって参りました。 トリオ T-50 型 IFT は本邦ではじめて売り出されたダブルスーパー用 IFT です。
 この IFT を使用した中間周波回路を、御手持ちのセットへ附加すれば、 きわめて鋭い分離力を持つようになります。 この附加装置を Q5'er(キュー・ファイバー)といいます。

 Q5'er は常に入れ放しにしますと音質が悪いので混信の激しいときだけ スイッチを入れるようにおすすめいたします。 混信のないときは Q5'er を入れるのは無意味であります。
 親受信機の終段 IFT に手を加える必要がありますがリッツ線を切らないようにご注意ください。

*HP作者コメント
 T-50 型中間周波トランス・キット(1954年発売)が Q5'er KIT になったものと思われます。 月刊誌「電波科学」の製作記事が資料として添付されています。 50kHz 中間周波数トランス(シールド付)は T-50、405kHz発振コイルは BFO コイル そのものです。 455kHz インプットコイル(シールド付)は後に発売された BFO-C と似ています。 上の写真にはありませんが、本来はピックアップコイル用ワイヤー(絹巻線)が付属しています。
 Q5'er KITJH2CLV がお持ちの品物で、写真をお借りしました。 ありがとうございます。 1960年ころの値段は 910円。


和光通信製作所 W-33 型 50kc中間周波変成器

アマチュア無線用 未使用、未配線の Q5'er キットです。
内容はトリオの Q5'er KIT とほぼ同等品ですが、シャシ、mT管ソケットが3個、 メーカーの銘板まで付いています。

AMATEUR WIRELESS RADIO
MODEL   No.
MADE 19   月
WAKO TSUSHINKI. CO.
  TOKYO JAPAN

W-33 型 50kc中間周波変成器の説明書

(一)本器の諸元
周波数     50kHz
選択度     35dB (2kHz)
帯域幅     800Hz (-3dB)
インピーダンス  A:6kΩ
           B:3.5kΩ

(二)本器の内容
50kHz 中間周波数トランス(シールド付) 2個 35m/m角
455kHz インプットトランス(シールド付) 1個 28m/m角
405kHz 発振コイル(コア入り)  1個

(三)本器の配線例 (省略)
(四)本器のリード口図 (省略)
(五)本器の調整方法 (省略)

(六)本器の成果
猛混信の 7MHz をきいてください。 随分すいているような感じがするでしょう。 ただし高音部の欠けた音になり、どの声も倍音が欠けてしまうため、 ほとんど同じような調子になり男女の声すらちょっとわかりませんが、 隣数電波との混信している時などズバリ QRK5 になり Q5er の名を立派に挙げます。

定価730円(当時)
送料70円(当時)
和光通信製作所 (東京)

 詳細は分かりません。 web情報によれば、1959年ころ電信級、電話級アマチュア無線の国家試験が開始され、 ハムの飛躍的な増加が見込まれました。 そこで、この時期に合わせて受信機、初級局用トランシーバの製造販売を開始したようです。

 W-33 型 50kc中間周波変成器は、 この無線機器に追加するオプション・キットとして企画・製造されたものだろうと想像しています。

雑誌「CQ ham radio」1960年12月号に紹介記事が掲載されています。

松下(現 Panasonic) ダブルスーパー用 50kHz IFT
三段帯域切換・2段増幅用
総合帯域幅 700Hz、1,200Hz、2,000Hz
インピーダンス(タップ使用)
狭帯域-中帯域-広帯域
A 3.3kΩ、3.8kΩ、4.5kΩ
B 3.3kΩ、3.8kΩ、4.5kΩ
C 7.6kΩ、7.6kΩ、7.6kΩ
同調コンデンサ 4,500pF スチロール
コイルとコイルの間隔 A1、A2 17mm、B 13mm

1960年発売。 このころ、ナショナルのロゴ・マークが変わったようです。
(2014年3月14日W-33型追加)
(2009年3月10日加筆)
(2004年9月20日初稿)
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