TRIOのコイル

高一改造用 低価格スーパー用 4球スーパーコイルキット K-4型

周波数   535-1,605kHz
バリコン  430pF (統一規格品)
       390pF (統二号 VC の場合は周波数は
       550-1,605kHz となります。
ダイヤル  CLD

内容
(写真左上)小型アンテナコイル(空芯)
(写真右上)小型発振コイル(空芯)
(写真下) 新型μ同調 IFT 別名 T-7 型
 金具共 同調容量 150pF 再生付 

変換管 6W-C56D66C6

 民間放送の実施にともない家庭用ラジオの選択度の向上が是非必要となってまいりました。 K-4 型コイルキットは高一セットの改造あるいは4球スーパーの組み立て用として 独特の機構をもって設計されたもので、その鋭い選択度と取り扱いの便利さは、 発売以来絶大の好評を博しております。

【特徴】変換管に 6W-C56D66C6、のいずれも使用できるように カソードタップ(6W-C5 用)、カソードコイル(6D66C6 用) を設けてあります。
また IFT はダストコアーを最も有効に使用できる最新式を採用し、 4球スーパーに不要なシールドケースを除いたため、どんな小さな スペースにも取付けられ、分離性は標準型 IFT より優れております。

(大きさ比較用 CD の上に箱を置いてあります。)

*HP作者コメント
 めったに見かけないもののひとつです。 感度は高一と同程度ですから、高一をわざわざ調整のわずらわしいスーパーに改造する 利点は少なかったようです。 高一でも放送局の分離は十分だったのです。
 「電波科学 1950-11月号」に開発者自らの解説記事が掲載されています。

 IFT の同調容量は150pF、インダクタンスは約 774μH(可変:回路のストレーを 8pF と想定した場合)、 再生コイルのインダクタンスは約 18μH です。 IFT はシャシ内部に完全に納まりシールドケースに覆われていない分だけコイルのQを高くできます。 高1ラジオを改造するという観点からは、新たに IFT 用の穴あけの必要がない点は便利です。

 回路図のコメントは「※図ではグリコンリークが IFT のアース側に入っておりますが 配線の都合で※印のか所へ入れても同じであります。 電界の強い地域ではグリコンをカッコ内のように 0.01μF とすれば プレート検波として動作いたします」とあります。 1MΩの抵抗に発生した電圧をバイアスにして変形のプレート検波の動作を するという理屈のようです。 しかし実際にこの回路を検証してみると、信号の増大によってプレート電流が減少するという グリッド検波の特徴を示します。 そもそも抵抗に電圧が発生すること自体がグリッド検波の結果なのです。

 こういった4球スーパーのアイディア自体は以前からありましたが、 メーカーから4球スーパーの完成品、改造キットがこぞって発売されたのは、 民間放送局の一斉開局に合わせて混信を危惧したNHKの主導で 国会(第010回国会電気通信委員会1951年2月21日)でも取り上げられるなど、 国策的な側面があったためと思われます。

他のメーカーにも
・スター 4球スーパー コイルキット 4SK
・ナショナル スーパーコンバーター #1765-K
・タマディン(永井製作所)4球スーパーコイルキット
・クイン(Queen=ユゲタ無線製作所)四球スーパー用組コイル
・RISING(北陽無線工業)No.K40-K42 4球スーパーコンバーターキット
・ZENSEN(全線電気)4球スーパーコイルキット 4SK
・トウ スーパー改造キット(レフレックス方式)
などがありました。

 1960年ころのカタログには4球スーパーコイルキット K-4型は掲載されていません。

(2016年8月31日加筆)
(2005年6月13日加筆)
(2005年2月16日初稿)
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