3球セミトランスレス・スーパー
(自作)


写真左-前方から 右-斜め上から
プーリの左上に白く見えるのがテープを巻いたバー・アンテナです。

 RF用5極部、低増幅率3極部の複合管の 6F7 と 出力用5極部、半波整流用2極部の複合管 12A7 の2球で 5球スーパーの機能を持ったラジオを作った方がいらっしゃるそうです。 ちょっと真似できそうにありません。
 球の組合せが面白そうなので 6F712A7 に、 もう1球RF用5極管 77 を加えた3球スーパーを作ってみました。 複合管を使っていますので、実質5球スーパーです。

 周波数変換には 77 を使った 5極管コンバータを試してみました。 同調コイルにはゲルマラジオ用バー・アンテナ、OSCコイルは No.88コイル、 バリコンはトラッキングレスでこの組み合わせは私の作った4球ポータブルと同じです。

 6F7 の5極部で中間周波増幅、3極部でグリッド検波をします。 カソードまわりをすっきりさせたくて、5極部のスクリーン電圧を80V以下に下げて グリッド・リーク・バイアスで設計したのですが、 試しにグリッド検波のグリッドリーク抵抗に発生する電圧でAVCをかけたところ 具合がいいので採用しました。 グリッドリーク抵抗を IFT とグランド間に入れても大差はありません。 IFT にはスターのA4、B4を使いました。 こういった真空管の頂上にグリッドが出ている球は、その配線の取り回し方次第で 発振することもありますので注意が必要です。

 12A7 の5極部で、スピーカーを鳴らします。 3極管のグリッド検波では出力管を目いっぱいドライブはできませんが、これでも音量は十分です。 オーディオ雑誌に 12A7 は登場しませんが音質は悪くありません。
 2極部の規格が小さいので100VACを直接整流してB電圧を得ています。 電解コンデンサも10uFと小さくしましたが、ハムは気にならない程度です。 77、6F7、12A7、いずれも1932-1933年登場の真空管です。


 5極管コンバータにはいろいろな回路があり、それらを順に試してみましたが、 どれも似たようなものでうまくいきません。 バリコンをまわしても発振周波数を連続的に変化させるのは難しく、引き込みが強く、 しかも周波数の低い方だけでなく高い方でも発振が止まってしまいます。 問題は、使用真空管 77 のgmが低いことや トランスレス回路を使用したためにプレート電圧が低いこと、 そしてOSCコイルが専用の物でないことなど、いろいろ考えられます。

 回路図のように 77 のプレートとスクリーンの回路を IFT を通したあと結び、 両方の電流を発振コイルに流してみたところ発振強度が若干改善。 その後、このHPをご覧になった津田さんのアドバイスで 77 のカソード抵抗 10kΩを 2.2kΩに変更して発振がかなり安定になりましたが、 周波数の低いほうで発振が止まってしまう傾向は相変わらずした。

 その後 224 の4極管コンバータの経験から、 OSCコイルに原因があることがわかりました。 そこで2年のブランクを経て改造に着手しました。 No.88コイルに0.1ミリ径のポリウレタン線50回をカソードコイルとして 新たに巻き、これまでのコイルの2次側は遊ばせておきます。 そしてプレート側のコイルと並列に47kΩの抵抗を入れ、 これによって一応中波帯全域をカバーすることができるようになりました。 77 の代わりに 6C66D6 も使用可能で、シールドケースは不要です。

 今回はデザインで遊びました。 そのため外部アンテナもやめ小型のバー・アンテナ・コイル が捕らえた電波と電灯線を伝わってくる電波だけで受信していますが、 ローカル局受信用としては十分です。 また、5mくらいのビニル線を接続すれば遠距離放送も受信できます。
 ダイアルはダブル糸掛け風ですが、糸は一本で簡単な横行ダイアルにしてあります。 ポリバリコン用のプーリ、ボリューム改造のシャフト、タミヤ模型の「プーリーセット」で 作りました。
 コミック本程度のスペースに収まりますので、居間に置いても邪魔にならず気に入っています。


3球スーパー定格表
型式3球スーパー
受信周波数530kHz-1,650kHz
使用真空管77、6F7、12A7
感度4球ポータブル程度
電気的出力300mW(推定)
電源100VAC
消費電力-
スピーカー6cm ダイナミック
形状160x150x210H mm
重量1.45kg
製作年月2002年12月


3球スーパー 回路図

(2005年3月1日改造・改訂)
(2003年1月1日初稿)
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